ダミアーノ・クネゴ氏、片山理事長らと意見交換
ダミアーノ・クネゴ氏が3月29日、JBCFを訪問され、片山右京理事長、今中大介副理事長と、今後の日本ロードレース界や新リーグ構想についての意見を交わしました。
■ダミアーノ・クネゴ氏のプロフィール
2004年のジロ・デ・イタリア総合優勝、ジロ・ディ・ロンバルディアでは通算3勝を挙げるなど、イタリアを代表する選手として活躍。ジャパンカップでも2勝しており、日本でも馴染みのあるトップ選手です。2015年からは「NIPPO・ヴィーニファンティーニ」に移籍し、2018年、惜しまれつつも選手を引退しました。現在は自身がプロデュースするロードバイクの制作・販売を手がけるほか、パーソナルトレーナーとして後進の育成にも力を入れています。
■日本人選手についての印象
クネゴ氏:初めて日本に来た2002年に比べれば日本人選手は大きく成長したと思いますが、まだやらねばならないことはあると感じています。まず、フィジカル面で日本人とヨーロッパ人は違うので、同じトレーニングをしても同じように強くはなりません。だから、それぞれのパーソナルに合わせたトレーニングを考えなければなりません。そして16歳から18歳くらいの頃に良い環境でトレーニングすることが効果的であり、私にはその手助けができると考えています。
■イタリアの選手育成システムについて
クネゴ氏:私の場合は15歳から競技を始めましたが、イタリアには8歳から9歳頃から段階を踏んで上のカテゴリーに進んで行くシステムがあります。そのため、U23カテゴリーになる頃には強い選手が育つのです。
ジュニア、ユース向けのレースも多く開催され、3月から10月まで、ほぼ全ての週末にレースがあります。距離は年齢に応じて、13、14歳は40km、15、16歳になると60km、17、18歳になると100km、20歳を越えると120km以上と設定されます。
今中副理事長:イタリアでは自転車競技の認知度が高いから、警察も交通規制の仕方とか心得ていて、それが当たり前と思っていますから、公道を使った長距離レースを開催するのもスムーズです。
日本でも若手育成システムを確立させて、ジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスに毎年4、5人が出場するようになれば、メディアからの注目度も上がります。頂点をうまく利用して選手強化と注目度を上げられるようにしていきたいと思っています。
片山理事長:クネゴ氏から教えていただける環境があれば、日本人も更に強くなれます。海外での受入れ体制などの調整もありますが、選手育成のため、近い将来、実現させていくことが喫緊の課題です。
■2021年の新リーグ構想
片山理事長:JBCFでは、2021年から新リーグをスタートさせ、クネゴ氏のように世界で活躍する選手を輩出していくシステムを構築したいと考えています。
有望な選手をまとめてヨーロッパのトップカテゴリーに派遣するなど、現在は色々な方法を模索している段階ですが、クネゴ氏から知見のあるアドバイスやご協力をいただき、ぜひ、新リーグの顔にもなってもらいたいと切望しています。
クネゴ氏:私も、選手育成やイベントなど、色々なプロジェクトで日本と関わっていきたい。1年で終わるのではなく、せめて3年計画くらいの長いスパンで考えて、私の意見でよければ、喜んでお役に立ちたいと思います。
現役の頃から日本好きを公言し、引退前から日本人選手の育成に関わる事を強く望んでいたというクネゴ氏。今年はすでに5回の来日を予定しているそうで、今後の日本ロードレース界でのご活躍はもちろん、「2021年 新リーグ構想」へも、どう関わっていただけるか、期待したいと思います。
Text&Photo: Satoru Kato